新任教員紹介:吉見和紘講師

2022年4月に環境・社会基盤工学科に着任した吉見和紘と申します。
 
父親の仕事の関係で、転勤族だった私は、東京、長野、高知、香川、そしてまた東京、神奈川といろいろな地で過ごしてきました。日本海側に定住するのは、富山が初めてです。現時点で、富山の夏も冬もまだ経験していないので、「過ごしやすいです!!」なんて言葉は簡単に使ってはいけない気がしますが、今のところ、とても過ごしやすい気候だと感じています。聞いていたとおり、湿度は高めで雨は少し多いですが、雨が降った翌日あたりは、立山連峰がものすごく綺麗で、見るたびに贅沢な気持ちになります。
幼い頃、長野に住んでいた私は、両親によく黒部ダムに連れて行ってもらっていました(写真1)。幼稚園は山の中にあり、毎日のように泥遊びだったように記憶しています。みんなでスコップ片手に水路を掘って、水を流して遊んでいました。小さい頃からダムとか川とか、水に関する構造物とかが好きだったようです。まだ、富山に来てから黒部ダムには行けていないですが、黒部ダムに行けば幼き頃の記憶が鮮明に蘇る気がしてワクワクが止まりません。楽しみです。

学生時代は、降った雨がどのようなプロセスを経て、川や海に流れ出るのか。またその水がどのように循環しているのか。そんな研究をしていました。前職では、民間企業で主に雨を観測するための気象レーダに関する研究開発に従事していました。気象レーダデータにはどのような活用可能性があるか、様々な視点から研究していました。
特に意識してきたわけではありませんが、思い返せば、“水”について、多くの思い出や関わりがあることに気づきます。“水との闘いから生まれた”と言われる富山の地で、”水“に関する研究職に就けるという喜びを噛み締めながら、研究していきたいと思います。

さて、これも”水”に関することですが、富山に来てからどうしても慣れないことが1つあります。
コロナ禍の前になりますが、出張で東京-大阪間をよく行き来していました。東海道新幹線はいくつもの大河川を横切るので、わずかな時間ながら、川の様子を眺めるのが好きな時間でした。富山にも、黒部川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部川など名だたる河川があります。富山での移動は車が多いのですが、車窓から川の様子を眺めるのが最近の楽しみです。
ここまで聞いても、みなさんは「なんの話?」でしょうが、ここからが私が伝えたいお話です。太平洋側と日本海側では、基本的に、移動方向と川の流れの方向が逆になるのです。太平洋側で西に向かうときは、川は右手から左手に流れますが、日本海側で西に向かうときは、川は左手から右手に流れます(もちろん例外的な場所もあると思いますが)。「そんなの当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、主に太平洋側の川を見てきた私からすると、一瞬方向感覚が狂うほどの、ものすごい違和感があります。いつか慣れるのだと思いますが、富山駅に向かうとき神通大橋の上で、いつもそんなことを思っています。

最後に、大切にしていることをお伝えしたいと思います。「It’s not what you know, but who you know.」という格言があります。「結局コネが大事なのね…」と解釈されたり、「え?研究者がそれ言うの?」と言われてしまいそうですが、世の中コネが全てだ!ということを言っているわけではないですし、知識がいらないというわけではないと思っています。研究者としての一歩を踏み出したからには、今まで以上に知の蓄積も大切だと思っています。しかし、それ以上に、誰と関わりがあるか、誰を師事するか、誰を知っているか(誰が私を知っているか)、誰に聞けばわかるか、もっと言うと、世の中にはどんな人がいるか、を知ることは研究を進める上で、仕事をしていく上でとても大切な要素だと思っています。それは結果的に、得られる知見の質が上がることになると信じています。そのためにも人との出会いはとても大切にしたいと思っていますし、そうなるように行動していきたいと思います。
 まだまだ、右も左もわかっていませんが、多くの現場を学生とともに見てまわり、”水”に関する様々な現象を観察・観測、そして解析することを通じて、いろいろな方と関わりを持てたら嬉しいです。どうぞ、よろしくお願いします。

以上